誤植があってもわかればいいのだ

またまたネット通販の話です。

 

少し前に楽天、ヤフー、アマゾンの顧客囲い込み競争が激しすぎることを書きましたが、それが思わぬ問題を生んでいます。

 

宅配便最大手・ヤマト運輸の労働組合が荷物の取扱量の抑制を会社に要求しているというのです。

 

その背景にあるのがネット通販戦争激化、及びドライバー不足です。

 

ヤマトの荷物量は2015年が17億3000万個と膨大な数字で、それが2016年で18億7000万個とさらに8パーセントも増えています。

 

その荷物の4割がアマゾンの段ボールだといわれています。

業界2位の佐川急便がアマゾンから離れたので、その分がヤマトに流れているのです。

 

確かにアマゾンのサービスはすごいですからね。

プレミア会員になると当日届けも可能になります。

 

そんなに急いでもないのに、当日届いちゃうような状態です。

そのしわ寄せがすべてドライバーに回っていて、もう限界なのでしょう。

 

ヤマトの労使の話し合いがどうなるかはわかりませんが、多少の制限はやむを得ないでしょう。

われわれ利用者側も我慢するしかありません。

 

ちなみに「宅急便」はヤマトの商標なので、「宅配便」と書くのが正しいです。

「佐川の宅急便」と書くと、厳密にはまちがいになります。

すみません、職業病が出ちゃいました。

 

 

さて『誤植読本』からのエピソードです。

 

昔はやさしい著者が多かったという話です。

 

活版時代、つまり活字工の人が活字を拾って組んでいた時代は、著者も訂正するときは気をつかって、字数が同じ文章になるようにしていた人がいました。

 

なぜかといえば、訂正する字数が違うと文章が次の行にどんどんずれていって、それが何ページにも影響してしまうことがあるからです。

 

それを書いているのは精神科医の中井久夫氏ですが、そこまで配慮するのはやはり学者タイプの人が多いようです。

 

いまでも、年配の方で、訂正の赤字が多いときに「大丈夫でしょうか」と恐縮する人がいます。

 

コンピュータの作業なので、手作業的な心配はありません。

でも、やはり、赤字が多いとミスの確率も高くなるのはいつの時代でも変わらないので、訂正が少ないに越したことはありません。

 

この中井氏が尊敬する先輩で原稿に1字の訂正もないすごい人がいて、その人は校正もしないそうです。

 

「わたしの文章で誤植によって意味がわからなくなる人はどうせわからないからいいのだ」と仰ったというのが、ものすごくかっこいいですね。

 

 

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