2段組

小説やエッセイなど、たいていの本は1段組、つまり1行の文字が上から下まで続いていて、一番下から次の行に行くようになっています。

でもたまに、2段組になっている本に出会うことがあります。いったいどういう理由からなんでしょうか?

これには、まず、体裁と、原稿の量が関係してきます。

新聞や、雑誌などを見ればわかると思いますが、紙面が縦長で大きいので、1行を上から下まで続けたら、とんでもないことになります。読む気がしなくなります。したがって、新聞はひとつの記事を3段組みや4段組みで作っています。読みやすくする体裁のために1行の字数を少なくして、何段にもしているわけです。

単行本の場合は、段で分けなくても、それほど読みにくくはなりません。では、なぜ2段組にするのか? 

それは、2段組にしたほうが多くの原稿が入るからです。
本の1ページに入る字数は、およそ600字(40w×15l)ですので、400字詰め原稿用紙1枚半という計算になります。編集者はこれを基本にページ数や、字数などを調整していきます。
たとえば、ページ数がオーバーしそうであれば1行増やして40w×16lにしてみたりします。逆にページが減って薄い本になりそうであれば、38w×14lにしたりします。

だいたいの原稿はこの方法で、調整可能ですが、たとえば、小説でやたら会話文が多いものなどは、かなり狂ってきます。1行が20字に満たない会話文だと、それで本の1行、つまり40字分を使ってしまうので、極端なケースでは、ページ数が倍近くなってしまうのです。
ページが増えればそれだけかかる費用も増えます。

それを避けるために2段組みにするわけです。1行20字で2段だと、段と段の間のスペースがあるので、上下に伸びてしまいます。そこで19w×15l×2段にすると、だいぶページ数を圧縮できます。それに「うん」とか「ああ」などの短い会話が続いても、読みやすくなります。1段で「うん」「ああ」などが続くと下が空いてスカスカな感じになるので。

2段組の本の背景にはこのような事情が隠されているのです。

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