元号と西暦

今年は平成28年ですが、28年にもなると、一時期のように「えっ!? 平成生まれ!?」と驚くようなことは少なくなりましたね。

ちなみに西暦では2016年なのですが、1冊の本の中で、この、元号と西暦の表記をどう扱うかは、なかなか迷うところがあります。

というのも、だいたいの著者の方は、特に意識せずに、両者を混用しているからです。
あるときは西暦で、あるときは元号でとなると、ちょっと読みづらさを感じることもあります。

かといって、すべてを統一するというのも不自然になります。

2020年東京オリンピックとか、サッカーの2018年ワールドカップなどの世界的なイベントの場合は西暦で表すのが自然です。

あるいは、先の戦争時や、戦後の苦労話などを書く場合は、昭和○○年とするほうがしっくり来ます。

ですので、年号表記に関して、校正者は、まず、全体のベースを元号、西暦のどちらかに置くようにします。
だいたいは、多く使われているほうを取ります。これを「多出」と言っています。

一般に、校正者が著者の表記を直すときは、「多出」とメモしておくと、直されたほうも、納得しやすいからです。著者の方が多く使っているほうに合わせているので、文句はないでしょう、ということです。

多出をベースにして、ひとつの文章の中で、元号と西暦が混じっているような所を整理していけば、年号表記の問題は一件落着とみます。

ほかに、面倒なのが、元号と西暦の照合です。
昭和の時代は比較的楽でした。
というのも、一応の法則性があったからです。
昭和の年号に25を足せば、西暦になるので、それで確認できました。
昭和元年(1926年)~昭和64年(1989年)となります。

平成になると、2000年をまたぐので、法則性がありません。

また、元号が変わった年は、日にちによっては、ありえない日にちがあるので、注意が必要です。
昭和64年は1月7日までで、1月8日からは平成元年になります。
昭和元年も12月25日から31日までです。
つまり、昭和元年生まれ、昭和64年生まれの人は、あまりいないということですね。

公的な書類などでも、年号が両方あると混乱するので、西暦だけでもよいか、と思うこともありますが、やはり「~は昭和の香りがする」など、言葉としての伝わり方がちがうので、元号は不滅のものと考えるのがよいでしょう。

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