いつ直すか

著者の方が、完成した原稿を出版社に送り、契約をして、出版が決定しました。さあ、いよいよ夢への第一歩です。

ただ、一応原稿は完成したとはいうものの、あそこを直したいという部分が必ず出てくるはずです。

こんなとき、どういう段取りで直してゆけばよいのでしょうか?
恐らく多くの著者の方がこう思っているはずです。
「直す時期は早ければ早いほどいい」「できるだけこまめにその都度直すほうが、忘れなくてよい」

編集する立場からすると、これは大きな間違いとさえいえます。
熱心な著者になると、毎日のように修正した原稿箇所をファクスで送って、後日、またそれを郵送してきたりします。気持ちは分かりますが、たとえば、ファクスしたものと、郵送してきたものが違っていたりすると、混乱を招きます。

もちろん、これは熱意のなせる業なので、でせっかくの直しを「やめてください」とは言えません。毎回、原稿に反映しなければならず、たとえば、元の原稿をもう組版所に入稿したあとだと、非常にややこしくなります。ミスのもとなのです。

いちばん効率的な方法は、初校のときに、まとめて直すことです。それまでに直したいという部分があれば、メモするなり、付箋を貼るなどして、確実に分かるようにしておくことです。

なぜなら、初校が出るのは、契約してから一ヵ月半ぐらいあとなので、著者の方が時間を置いて、自分の原稿を客観的にチェックすることができるからです。この時間を置くことが大切なのです。熱心に毎日読み直しても、結局は袋小路に迷い込む状態で、果たして直してよくなるものかどうかが不確実になります。

かといって、再校のときにたくさん直すのも、非常に危険です。大幅に直すのであれば初校に限ります。再校の基本は初校の直しが正しく反映されているかどうかの確認です。それに新たな修正が加わると、こちらのチェックも甘くなる恐れがあります。それが、大きな見落としに繋がりかねないのです。

本作りの過程である、初校、再校(場合によってはもう一回やる三校)という流れは、理に叶っているものなので、それに従うのがベストということです。

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