ヒットラーさん

前回、名前をまちがえられる話を書きましたが、まちがえられるくらい、どうということもない、と思える記事を読みました。

昨日(7月18日)付の朝日新聞国際欄に載っていたもので、戦後ドイツで「アドルフ」というファーストネームが避けられてきたという内容でした。

私が注目したのは、関連記事で、ヒトラー姓を持つ男性についてのインタビューです。

ちなみに、いまはヒットラーではなく、ヒトラーと表記されていますね。このコラムの正しいタイトルは「ヒトラーさん」です。

やはりこの名前のせいで、ヒトラー氏の人生は苦労の連続だったようです。ヒトラー姓を持つ人の多くは改姓しましたが、この人はあえて変えなかったそうです。

さすがに、個人による独裁政権ではなかった日本には、ヒトラーのようなアレルギーのある姓は存在しません。
東条という名の人に対して、東条英機をすぐ持ち出すようなことはあまり考えられないからです。

さて、本の著者名の場合ですが、本名を出したくない場合はペンネームを使います。
ペンネームは公序良俗に反しないもので、できるだけ重複しないものが適しています。

重複に関する細かい規定はないですが、やはりトラブルは避けたいので、出版社としては、基本的なチェックはします。

著者名が比較的最近のもので、同じもの、あるいは非常に似ているもの(字は一部ちがうが発音が同じものなど)がある場合は、なるべく変えるようにお勧めします。

微妙なもの、たとえば20年ほど前に、私家版で発表された本の著者名と、重複している場合は、そのままで行くこともあります。

ペンネームに関して、著者の方から「ペンネームにしたいが、どうすればよいか?」と聞かれることもあります。
ときには「ペンネームを考えてくれないか」といわれて困る場合もあります。

そういう方に限って、特にペンネームにする理由がないので、結局本名で出すことが多いです。

ペンネームで比較的多いものは、やはりご自分の育った土地に由来するものでしょう。
あるいは、女性であれば、ご自分の旧姓を使ったりすることもあります。

あまりお勧めできないのは、何かを模したような、ちょっと変わったというか、気をてらったものです。
これはオヤジギャグと通底するものがあって、だいたい、年配の男性が考えるもの多いです。

なぜやめたほうがよいかというと、ペンネーム自体に、才気が感じられて、原稿の内容がそれに伴ったものでないと、カッコのいいものではないからです。
ハードルが高いということです。

江戸川乱歩(エドガー・アラン・ポー)
二葉亭四迷(くたばってしめえ)

などが有名ですが、文豪としての作品評価があってこそ「そういえばペンネームも面白い」と思われるわけですので。

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