国家公務員の就労ルールを定めているのは人事院ですが、この1月からセクハラに関しての規則をより厳しく運用通知するようです。
今回セクハラの定義として「性的指向もしくは性自認に関する偏見に基づく言動」が加わりました。
わかりやすくいえば「彼はホモっぽい」「同性が好きなんてキモい」というような発言です。
これに対して厚生労働省が現在、民間企業に向けて発信している指針におけるセクハラの定義は「わいせつな言動」が主で、偏見に基づく言動は含まれていないとのことです。
ずいぶん時代にそぐわないというか、ゆるゆるな感じです。
厚生労働省内では当然、人事院の規則が適用されますから、これではダブルスタンダードになってしまいます。
やはり厚生労働省は、民間にも同レベルのルール作りを周知しないとまずいでしょう。
地方自治体などにおいても同様の対応が求められるのは当然です。
さて『みんなの日本語事典』から「外国人のとまどう日本語」についてです。
「人」という字の音読みですが外国人(ジン)・苦労人(ニン)となぜ「ジン」と「ニン」があるのでしょう。
老人(ジン)と浪人(ニン)とか。
正直、日本人でもとまどいますよね。
漢字は中国から来ました。
そこで、いつ、どこの中国語が日本に伝来したかによって、漢字の音読みは異なるのです。
結論をいえば、人(ニン)は呉音で、人(ジン)は漢音です。
ほかに唐音もあります。
呉音は5~6世紀に呉の地方(長江下流域)から伝わってきたものです。
それに対して漢音は7~8世紀に中国の都、洛陽や長安から伝わってきました。
漢音は中国の標準音とされていたため、朝廷は漢音を押して普及させようとしましたが、呉音は根強く消えませんでした。
呉音は仏教の経典類に使われていたので、簡単にはなくならなかったのです。
たとえば「経文(キョウモン)」「頭巾(ズキン)」が呉音で、「経済(ケイザイ)」「頭部(トウブ)」が漢音です。
今の日本語の基礎がすでにこの5~8世紀に作られていたとは。
中国に完全に頼っていたのですね。
「ニン」と「ジン」の読みの文法的な法則はありますが、ややこしいので省略させてください。
「ニン」は数詞と結合します。
ヒトリ、フタリのあと3人(ニン)からはずっとニンでOKです。
「ジン」は地名・国名と結合します。
関西人(ジン)、イギリス人(ジン)などです。
これぐらい覚えておけばよいでしょう。
だいたいはまちがえたことないと思います。
私もふしぎと「ジン」「ニン」のまちがいを耳にした経験はないですね。
確かに外国人はとまどうかもしれませんが。
日本語を一生懸命勉強している外国人の方にはちょっと申しわけない気がしてきました。