自分ではおかしいと気づかずに、同じ意味の言葉を重ねてしまうことってありますよね。
ちょっとむずかしく言えば、屋上屋を架す言葉です。
正式には「重言」といいます。
すぐ分かる初歩的なもの。
「腰が腰痛です」
「ただいまの現状は」
「腰が痛いです」「ただいまの状況は」とすべきところを、ダブらせてしまっていますね。
丁寧に説明しよう、という気持ちがこうした過ちの素といえそうです。
うっかりすると見過ごす中級クラスのもの。
「思いがけないハプニング」「思いもかけなかったサプライズ」
「犯罪を犯す」
ハプニング、サプライズには、予測できないこと、という意味がすでにあります。
外来語を使うと、意味がダブる実感があまりないので、まちがえやすいかもしれません。
後者は「罪を犯す」が正しいですね。犯罪=罪、と思われがちなのが重言となる原因でしょう。
なかなか気づきにくい上級のもの
「あなたが一番最後です」
「彼は弱冠30歳で創業」
「最後」は最も後、という意味なので、「あなたが一番後です」が正しいのです。
ただ、最近は「一番最初(最後)」「一番ベスト」とけっこう使われていますね。
二つ重なっても、強調しているということで、許容されているようですね。
「弱冠30歳」は重言ではないですが、誤用しやすいので入れました。
弱冠とは男子20歳のことです。
ですので、20歳でなくても、その前後でないと使わない言葉です。
ついでにいえば、弱冠を若冠、若干と書きまちがえる例もときどき見られますので注意したほうがよいでしょう。