「平行」と「並行」

またまた使い分けの話です。
今回は誤用に近い、熟語をいくつか取り上げてみます。

「平行」と「並行」

「私は、当時、会社の仕事と“平行”して、介護の資格を取る勉強を続け、介護士に転職した」

この場合は「並行」を使うのが正しいです。このように、並行を使うべきところを、平行を使ってしまうケースが圧倒的に多いです。

「平行」は平行線、平行棒など、2つのものがどこまで延びても交わらない位置関係を示しています。

「並行」は同時進行の意味で、並行輸入など、人間の行為、仕事を表す際に使うことが多いです。つまり、どちらかというと、私たちは普段「並行」を使うことのほうが多いことを覚えておけばよいと思います。

ほかに「平衡感覚」の「平衡」もあります。これは、つりあい、バランスを表す言葉です。うっかり「平行感覚」と書きやすいので注意が必要かもしれません。

「野生」と「野性」

「彼は“野生的”なところが魅力」

これは、「野性的」が正しいですね。このように「野性」の意味で「野生」を使ってしまう誤用が多いかと思います。
誤用というより、ワープロの変換ミスの見落としといったほうが、近いかもしれません。両者は字も似ていますからね。

「野生」は「野生のバラ」のように自然に山野で育ったという意味です。
「野性」は、自然、本能のまま、ワイルドという意味です。
両者は意味も似ています。
「野性植物」と書くと、誤用に気づきやすいですが「野性動物」だと、意味も似ているので、正しくは「野生動物」だとは、気づかないかもしれません。

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