重版 その4

重版の編集作業において、初版と大きく変わる可能性がある部分があります。

それは帯です。

理由としては、帯を変えて、より売れ行きを良くしようという、出版社の戦略がまず考えられます。

また、帯を変えることは、経費的にもそんなにかからない、ということも理由のひとつに挙げられます。
スペースがそれほど大きくありませんから、文字の変更などで済み、さほどデザインに凝る必要もないからです。
重版で何かを変えるとすると、帯しかないともいえます。

では、どこを変えればよいのか?

いちばんアピールしたい部分は、その本の評判がよくて、売れているという事実ですから、帯のコピーもそれを全面に押し出すものになります。

まずはお決まりの「話題沸騰!」「売り切れ続出!」などの文句をドーンと打ち出します。

さらに、活字メディアに載った書評や、テレビ番組などで取り上げられた場合は、それを取り入れれば宣伝効果は倍増です。
「人気番組○○で紹介、絶賛されました」という感じです。もちろん、相手先の許可が必要になります。

また、もし、名のあるタレントさんが「この本がとても面白かった」などと言ってくれたら、大きな話題になるので、その方の推薦文などを得られれば、載せたいところです。さらにその方の写真なども入れてよいでしょう。

ただし、これらのすべての段取りをかぎられた時間の中でクリアしなければならないので、かなりきついスケジュールになるはずです。でも本が売れないと、そういう経験はできないので、うらやましいかぎりともいえます。

以上が、通常の重版本の場合で、ほかにも帯を変えるケースがあります。
それは、いわゆる「フェア」と呼ばれるものです。

つまり、話題の分野の本が、新刊として出るときに、同じ分野の旧刊も何冊かまとめて重版するのです。

そのときに、帯に、共通のテーマの文言を入れます。
たとえば戦国武将ものだとすれば、各書の帯に「戦国武将フェア」と銘打つわけです。

時代物は、だいたい、NHKの大河ドラマに合わせることが多いですね。
ですので、来年の主役となる歴史上の人物に沿って、今年の秋から、その手の本が多く出されることになります。
現在、出版社をはじめ、ライター、編集プロダクションなどはそれで、てんてこまいのはずだと思います。

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