上と下

昨日「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」が発表されました。

 

大賞は例の文集砲「ベッキー31歳禁断愛~」でした。

 

今知りましたが、「31歳」という年齢がしっかりキーワードになっていたんですね。

 

それにしても、芸能ネタしかなかったのかというのが正直な感想です。

 

ジャーナリズムというと、社会派、政治ネタが主流かと思ってましたが、もはやそういう時代ではないのかもしれません。

 

売れる記事がないと部数が保てません。

誰にも読んでもらえなくなれば、雑誌自体がなくなってしまいます。

 

ジャーナリズムたるもの、芸能ネタで経営基盤を確保して、目指すところは巨悪追究とか、志の高いものであってほしいと思います。

 

 

さて、今回は校正の話です。

『本と校正』(長谷川鑛平 中公新書)という校正者にとってはバイブルのような本があります。

 

著者はすでに故人で中央公論社の校閲部長を務めていた方です。

 

そこに誤植を誘導するものとして、上・下、左・右、開・閉などの取り違えが挙げられています。

 

何しろ、意味が正反対ですから、誤植のときの影響が甚大になります。

 

たとえば「女子は17歳以下でなくては婚姻できない」とか。

薬の処方箋などで、以上と以下を間違えると命にかかわります。

 

まあ、これらは気づきさえすれば簡単に直せます。

ケアレスミスがなければ大丈夫です。

 

では、次の慣用句はどうでしょう。

「屋下に屋を架す」

 

これは誤りなので「屋上に屋を架す」と直したくなります。

「屋上屋を架す」とは無駄なことをするという意味です。

 

しかし、原典では「屋下に屋を架す」となっています。

どちらも正しい、というよりは、「屋下」のほうが正しいのです。

 

でも「屋上」という言葉のほうがなじみがあるので、そちらのほうが一般化したわけです。

勝手に直してはいけません。

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