重版 その3

重版を作る編集者の仕事の続きです。

前回、日付のことは書きましたが、ほかで第1刷と変わるのが、スリップです。
スリップとは、新刊書に挟んである、2つ折りの売上スリップのことです。

新刊書が1冊売れると、書店がその本に挟んであるスリップを抜きます。
売れたので、またその本を注文するときの注文カードとしても使います。

本を買い上げた、読者にはあまり関係ありませんが、本が流通する上ではとても大事なツールなのです。

書店で、新刊書を見ると、このスリップの上の部分が、半円状に出ているのが見えると思いますが、この部分は「ボウズ」と呼ばれています。たぶんお坊さんの頭のように見えることから来ているのだと思います。

このボウズには、その本の発行年月が記されています。たとえば「16.06」とあれば、2016年6月に発行された本のことです。

このボウズにある数字は初版のみで、重版のボウズは通常、空白になっています。一目見て、重版と分かるようになっているのです。

またスリップには各社、色を付けていて、色によって同じ月に出たものと判別できますが、重版のスリップの色は白です。これも一目で重版と分かるようにするためです。

編集者がスリップの印刷を発注するときは、以上のチェックをする必要があります。

それから、重版の印刷所ですが、通常は初版を作った印刷所がそのまま刷ることになります。ただし、やむ得ない事情により、替わるケースもあります。

たとえば、新刊の売れ行きが驚異的に良くて、注文が殺到し、短期間に大量の部数を刷らなければならないときです。初版の印刷所がそれに対応できず、間に合わない場合は、書店に迷惑をかけることになります。その条件をクリアできる印刷所に頼むことになります。
通常は大手の印刷所というケースが多いです。

印刷所の変更は、編集には直接関係ありませんが、奥付の印刷所名が替わるのでチェックが必要になるでしょう。

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